もし商標登録をしていないと・・・

            ~ ケーススタディ:パン屋さんの場合 ~

 

 パン屋さんであるあなたは、包装に星★パンと表示してパンを売っています。

 あなたはとても美味しいパンを焼くので、お客さんからの評判も上々でした。

 一方、星★パンの存在を知ってか知らずか、ある同業者Aは、包装にほし☆パンと表示してパンを売ろうと考えているようです。

 ほし☆パンは、呼び方も連想されるイメージも、星★パンにそっくりです。

(つまりこれらは、互いに類似した商標です)

   あなたが星★パンを先に商標登録しておくと、

 ● 同業者Aにほし☆パンを使わせないようにすることができ、

 ● 同業者Aがほし☆パンを商標登録しようとしても、阻止することができます。

(同業者Aの出願は審査不合格となり、商標登録されません) 

 

 ところがもし、あなたが星★パンを商標登録していないと、どうなるのでしょうか。


     ケース1

 同業者Aの作るパンは、作り方が雑なのか味が悪く、お客さんからの評判は良くありません。

 そんな中、いつの間にか同業者Aは、包装にほし☆パンと表示してパンを売り始めていました。

星★パンと表示したあなたのパンに、ほし☆パンと表示した同業者Aのパン。

 お客さんにとって、紛らわしいことこの上ありません。

 

 そのまま放っておいたところ、

『 あなたがほし☆パンという味の悪いパンを作った 』

と勘違いするお客さんも現われ、理不尽にも、あなたの評判が落ちてしまう事態となりました・・・。

 星★パンを商標登録した後、その権利に基づいてほし☆パンの使用を直ちに中止させていれば、評判が落ちてしまう事態を防ぐことが可能でした。

 


 ケース2

 同業者Aは、さっさとほし☆パンを商標登録してしまいました。

 その後に同業者Aは、あなたが星★パンを使っていることに目をつけ、星★パンの使用を直ちに止めるよう警告してきました。


 ほし☆パン星★パンは類似し、さらに商品は「パン」で共通しているので、あなたは同業者Aの商標権を侵害していることになります。

 あなたはようやく事の重大さに気づきましたが、もはや星★パンを商標登録できないばかりでなく、商品のパンに星★パンを使うことすら出来ない事態に・・・。


 あなたは、せっかく築いてきた星★パンのブランドを無駄にしてしまった上、パンの包装から広告などに至るまで、星★パンと表示されたものを処分することになってしまいました 。

 星★パンを早く商標登録していれば、同業者Aによるほし☆パンの商標登録を阻止して、そのまま星★パンを使い続けることが可能でした。

 


 例えあなたが先に星★パンを使用していたとしても、それが相当に有名(周知)となっていない限り、その後に同業者Aのほし☆パンが商標登録されてしまうことがあります。

 そして同業者Aがその権利を主張してきたら、上記のように、あなたは突然星★パンを使えなくなってしまうことになります。

 さらにあなたが星★パンを使ってきたことにより、同業者Aから損害賠償を請求される可能性もあります。

 

 どうして? と思われるかも知れませんが、日本の商標制度では、それだけ商標登録が重んじられているということです。

 商標を安心して使い続けるためには、使う商標が決まり次第、早めに商標登録を済ませる方が良いと言えるでしょう。